黒峰くん、独占禁止。

「……うん、辛かった。」

《春宮が素直にそう言ってくるなんて、よっぽどだったんだな。》

「それ、どーゆー意味?」

 酷くないですか、その言い方は。

 そう思ったけど、クスッと笑ってしまった。あまりにも黒峰君のド直球な言い草に。

 そうすると、黒峰君は電話の向こう側で満足そうに微笑んだようで。

《春宮、お前は笑っとけ。》

 と、伝えてきた。

 笑っとけ……って、泣き顔とかは似合わないって言いたいんだろうか。

 ……笑顔は似合うって、言ってくれてるんだろうか。

 ……なんて、物は考えようだよね。

 おかげで、少し心に余裕ができた。

「ありがとう、黒峰君。私の話、聞いてくれて。」

《それはこっちも同じだ。教えてくれてありがとう、春宮。》

「……優しいね。」

《お前にだけな。》

 また飛び出してきた、キザなセリフ……。

 だけどこの状況で茶々を入れるほど、私は空気が読めないわけではない。

 黒峰君に感謝しているのは本当だから、私はもう一度お礼を伝えた。

「本当にありがとう。黒峰君のおかげで、ちょっと楽になったよ。」