黒峰くん、独占禁止。

 私は、嶺緒君が好き。

 だから、嶺緒君のものって言われても……否定しない。

 ……そもそも、否定できないけど。

 こんな私は、黒峰君とはお付き合いできない。

 それが、この出来事の結論だ。



「それじゃ、ももちゃんおやすみっ。」

「うん、おやすみなさい。」

 私のお家の前で、送ってくれた嶺緒君に同じものを返す。

 そうすると嶺緒君は不意に私のおでこに唇を落として、満足そうに微笑んだ。

「また明日ね、ももちゃん。」

 嶺緒君の背中を見送りながら、私は彼の言葉を聞く。

 毎日のように言われるこの言葉は、私に希望を与えてくれる。

 また明日も生きてていいんだ、っていう……希望。

 また明日も会ってくれるんだ、っていう希望。

 私にとってそれは、ぎゅっと心臓が締め付けられるくらい素敵な言葉だ。

「ただいま。」

 オートロック式マンションの一室に入った私は、帰ってこない言葉をちょっと期待してスクールバッグを置き。

 ブレザーをハンガーにかけ、手洗いうがいをしてから部屋着に着替え始める。