黒峰くん、独占禁止。

 何でこんなに、光莉ちゃんは優しんだろう……っ。

「あり、がとうっ……。光莉ちゃんがいてくれて、良かった……っ。」

「な、泣かないで桃香ちゃんっ! よしよしっ。」

 黒峰君に呼び出されてるとか、知らない内に着信が来ていたとか。

 光莉ちゃんに慰められている私は、そんな事すっかり頭から抜けていた。



 ありがとうございましたー……と、緩い挨拶を聞きながら帰りのホームルームが終わる。

 クラスメイトは各々部活に行ったり、友達と帰ったりし始めていた。

 光莉ちゃんはどうやら委員会があるらしく、一緒には帰れないとの事。

 だからちょっぴり、心細い……なんて。

「そういえば結局……黒峰君のとこ行けなかったな。」

 別に行きたいわけじゃないけど、黒峰君に会いたいわけじゃないけど。

 呼び出された日は必ず黒峰君に会っていたから、なんだか落ち着かなかった。

 今からでも会いに行ってみる?

 ……いやいや、自分から行ってまた変な噂を立てられても困る。

 ふわ~っと頭に浮かんできた考えをすぐに振り払い、はーっとため息を吐いた。