黒峰くん、独占禁止。

 道中、また良くない事を言われるのかなと薄々覚悟はしていた。

 けれども聞こえてきたのはマイナスな事ではなくて、ちょっとだけ拍子抜けしてしまう。

 それに、嶺緒君が言ってたって……。

 私にもその理由は分からない。けどもしかしたら、嶺緒君なりに私を守ってくれてるのかなって思ってしまった。

 そ、そんなわけないと思うんだけど……あはは。

 お弁当箱片手に急ぎながら、ようやく着いた屋上の扉をゆっくり開ける。

 キィー……と音と共に頬を掠めたのは、少し冷たい風。

 そして、黒峰君だった。

「待ってたぞ、春宮。」

「……ふふっ、ありがとう。待っててくれて。」

 私を視界に入れるや否や、ふわりと抱き着いてくる黒峰君。

 大きなわんちゃんみたい……だと思いながらも私も身を預けて、腕をぐーっと後ろに回した。

 同じように、ぎゅっと抱き着く。

 黒峰君と過ごす時間はどれも好きだけど、なんだかんだこうして抱きしめている時が一番好きかもしれない。

 なんて二人でくっついた後、屋上のベンチに座りふぅ……と息を吐いた。