黒峰くん、独占禁止。

 私が、お父さんに言うべきなのは……。

「……ありがとう。お父さんには、感謝してもしきれない。」

 お礼の言葉だろう、と思った。

 素直に、率直に、飾らずに言葉に表す。

 それと同時に、嶺緒君から借りていた状態のあのマンションから『家賃が支払われてない』って追い出されちゃったら……なんて心配もなくなった。

 私の言葉にお父さんはうるっと来たみたいで。

《時間作れたら帰ってくるんだぞ! お父さんもお母さんも杏珠も、みんな待ってるんだからな!》

「うん、もちろんっ。」

 涙を我慢しているような感じの声が届いて、きゅーっと胸元が苦しくなる。

 ついつられて泣きそうになったけど、私もぐっと我慢して元気な声を返した。

 本当に、本当に良かった……っ。

 色んな思いからそう考えて、ちょっとだけ泣いたのは内緒だ。



《10時くらいにお家に行ってもいいかな?》

 お父さんと軽く話をした後、光莉ちゃん宛てにそんなメールを送る。

 返事が来るかは分からないけど、ちゃんと謝りたい。