朝日が昇り、明るくなる公園。

 その場所で黒峰君は、なかなか私を離そうとしてくれなかった。

 解放されたのは1時間経ったついさっきで、今は時間的にも一旦家に帰ろうとしているところ。

 黒峰君に「送ろうか?」と言われたけど、なんだかそこまでされてしまうと嶺緒君の二の舞になりそうだったから断った。

 あの男の人は例外であって、基本急に襲撃に遭う事はないだろうし。

 それに朝もまだ早い。急いで帰れば大丈夫だろうと結論に至った私は、足早にマンションへと向かう。

 けどその道中、私はスマホを取り出した。

 嶺緒君が、いつの間にか契約を切っていた話。

 それが事実なら、気になる事が一つあった。

「……もしもし。」

《と、桃香!? どうした急に!? それにこんな朝早く!?》

「ご、ごめんね急に電話しちゃって。……ちょっとね、聞きたい事があったの。」

《聞きたい事、か?》

 私の言葉を反芻した電話越しの相手……お父さんは、何の事だか見当がついていないようで語尾を上げる。

 そんなお父さんに私はすぐ、思っていた疑問をぶつけた。