黒峰くん、独占禁止。

「とりあえずどっか人が少ないとこ行くか。ここじゃ危ない。」

 突然背後から怒号が聞こえたと思った瞬間、断末魔に似た叫び声がその場に木霊した。

 原因はもちろん……黒峰君が引き起こしていて。

「んじゃ、行くぞ。」

「え?」

 ちょ、ちょっと黒峰君……?

 どうして、わざわざお姫様抱っこを……?

 する必要、ある?

 再びぐったりしてしまった男の人を横目に、私はあからさまに困惑する。

 背中と太もも辺りに回された大きな手がふわりと当たり前だと言うように私を包み込んでいるけど、納得がいかない。

「あのー……黒峰君? 下ろしてほしい、かな?」

「ダメだ。このままでいかせてもらう。」

「え。」

 何故……!?

 はっきりと断言した黒峰君に、「え」以外に返す言葉が見当たらない。

 そして黒峰君はそんな私を気にする様子を見せず、本当にお姫様抱っこのまま踵を返してしまった。



 されるがまま連れてこられた場所は、人気がない近くの小さな公園。

 その中にあるベンチにストンと私を降ろすと、刹那またもや抱きしめられた。