黒峰くん、独占禁止。

 黒峰君、一体この人に何したの……!?

 喧嘩売ったのか、それとも喧嘩よりも酷い事をしたのか……。

 それはよく分からないけど、この状況は良くない気がする。

 このままどこかに連れて行かれるくらいなら、せめて悪あがきをしよう。

 米俵のように持ち上げられた私は、なんとか動かせそうな片腕をズボンのポケットに突っ込む。

 そしてすぐ、スマホが手に触れた。

 こ、これで……!

 私を軽々持ち上げている彼にバレないよう、すーっとスマホを片手で操作し始める。

 連絡先が入っているアプリを開き、親指で急いでスクロールしていく。

 その中にもちろん黒峰君の名前もあったけど……押す勇気はなかった。

 でもそうすれば、誰に助けを求めればいいか分からない。

 嶺緒君にも光莉ちゃんにも、家族にも迷惑をかけられない。それは、黒峰君も一緒なんだけど……。

「……助けて。」

 自信があった。黒峰君はきっと助けに来てくれるって。

 誰でもない黒峰君だからこそ、大好きな黒峰君だからこそ、助けを求めようと思ったんだ。