私のお昼休憩は、ほとんどあってないようなもの。

 黒峰君に呼ばれた時は行かなきゃ教室まで迎えに来るし、嶺緒君に呼ばれた時だって……行かなきゃ、何をされるか分からない。

 ……だけど、今日嶺緒君から呼び出しは……なさそうだ。

 もしかして、また先生のお手伝いしてるのかな。

 嶺緒君は学級委員長をしていて、結構な頻度で担任の先生に呼ばれるみたい。

 嶺緒君の表の顔はどうやら“頼れて優しい学級委員長”らしいから、頼み事を断れないって前に聞いた事がある。

 不機嫌そうに、実に面白くなさそうに。

 だとしても、黒峰君から呼び出しを受けている。

 ダメだって言ったのは私だけど……行かなきゃなんない、よね。

 もし嶺緒君に見つかったら……そう思うと怖いけど、黒峰君がここまで来てまた私の悪評が広がってもそれはそれで困る。

 結果的にそう行きついた私は、4時間目の授業が終わるや否やお弁当を持って席を立った。

「ごめんね光莉ちゃん……。今日、黒峰君に呼び出されちゃってて……一緒に食べられないんだ。」