黒峰くん、独占禁止。

 追加で耳元から、ドスがめちゃくちゃ利いた声が耳に届く。

 誰……? 急に何……?

 男の人との面識なんて数えるほどしかない。しかも、この男の人は全く知らない人だ。

 チラッと目だけを動かして、どんな男の人なのかを把握しようとする。

 けれど、手が私より二回り大きい事から、普通の人よりはガタイがいい人なんだろうと辛うじて分かる程度。

 それ以外の事は分かりそうもなくて、一つ焦りが生まれた。

 何が、目的なの……?

 面識がない私をどうして知っているのかも気になるし、何で私を拘束してきたのかが不思議で仕方ない。

 ここで取り乱したら負け。勝手にそう思った私は、小さく息を吐いて言った。

「あの……あなたは、誰なんですか?」

 できるだけ相手を刺激しないよう、下手な行動を起こさないように慎重に。

 声のトーンにも気を付けて、ゆっくり言葉に表した。

「あぁ? お前に名乗る義理はねーよ!」

「……あると思います。少なくとも、あなたが誰だか分からないと私はどうすればいいのか分からないです。何か望みがあるから、確認するような事をしたんですよね?」