黒峰くん、独占禁止。

 まだ眠たい目を雑に擦り、ふわぁ……と緩い欠伸を一つ。

 ……正直、昨夜の事が信じられていない。

 嶺緒君ってあんなに優しかったっけ……?とも思うし、あんなあっさり許してくれるの……?と心配にもなった。

 けど契約を切っているという事は本当らしく、お父さんにメールで問い詰めたところ真実だと分かった。

 本当に、最低だった。最低な事をした。

 そんな自分を許せなくて、何故か許してくれた嶺緒君に際限なく申し訳なさと罪悪感が募る。

 まだ明るくなっていない空は、紫にも水色にも見える曖昧な色。

 それが自分の心の中を表しているようで、ちょっとだけ自嘲気味な笑みを浮かべた。

 ……今日で、本当の踏ん切りを付けよう。

 玉砕する覚悟はできている。嶺緒君に許してもらったんだから、玉砕くらい苦でもない。

 どちらかというと、このまま気持ちを伝えられないほうが苦だった。

 真冬さん、私は約束破ります。伝えるだけ、それだけは許してください。

 それ以上は何もしないし、するつもりもない。二人の仲を邪魔したいわけじゃないから。