黒峰くん、独占禁止。

「分かってたよ、ももちゃんが俺じゃなくて黒峰を見てたのは。」

 ぎゅっと強く瞼を瞑った私に来た衝撃は……想像の数倍優しい感覚だった。

 ……なん、で。

「それでももうちょっと押せば、俺のことを好きになってくれるかなって……思ってたんだけどね。」

「嶺緒君……ど、して、抱きしめて……っ。」

「これも嫌? 黒峰だけがいい?」

「……ち、違うっ! そういう意味じゃなくて、何で……」

 ――何で、そんなに優しいの?

 抱きしめる強さ、言葉が違う。いつもよりもうんと優しくてあったかくって、まるで子供をあやすようなやり方。

 あんなに私を束縛してきた嶺緒君が、いきなりこんなしおらしくなるなんて思ってなくて……慌てふためく他ない。

 だって、嶺緒君はもっと強引で乱雑で……。

「どうしてこんなに大人しいのか、でしょ?」

 いつもの如くすぐに見破られた私の気持ちは、嶺緒君のクスクス笑いに混じって消える。

 その後に嶺緒君はどうしてか、なんともあっさり教えてくれた。

「俺が何でももちゃんたちを助けたか、分かる?」