黒峰くん、独占禁止。

「ひゃうっ……!?」

 無遠慮に下腹の辺りに手を添えた嶺緒君は、もう片方の手で自分のほうへと私の顔を向かせる。

 その瞳は今まで見た中でも一番と言っていいほど鋭くて、有無を言わさせないようなものだった。

 っ……や、いや。

「……桃香? 何してんの。」

「や、やっぱりやだっ……。」

 嶺緒君の瞳が、おもむろに黒峰君のものと重なった。

 そう見えてしまえばやっぱり嫌だなんて自己中な考えが芽生えて、いつもよりも強めに嶺緒君の胸板を押す。

 分かってる、こんな事したら嶺緒君にも嫌われてしまうって。

 契約を切られるかもしれない。そんな恐ろしい事だって起きかねないのに。

「何で拒否んの。桃香は誰が好きなの? 誰を好きでいるの?」

「……黒峰、くん。」

「は?」

「私が好きなのはっ……黒峰君だよっ!」