黒峰くん、独占禁止。

「それな~。噂じゃ、別の男とも関係持ってるって。」

「何それこわ。そこまでして遊びたいのかな~。」

 違う。そんな事、してない。

 そう否定したいのに、否定しようとすれば体が動かなくなって。

 ……言葉さえも、出てこなくなってしまう。

 私が知ってる男の子は、黒峰君と嶺緒君だけ。他の男の人なんていない。

 むしろ、男の人は背も高いし威圧感があるから得意なほうじゃない。

 それなのに、どうしてそんな根も葉もない噂が流れちゃうの……。

 私はそんな事、してないのに……っ。

「あ、おっはよー桃香ちゃーんっっ!!」

 それでも、癒しはある。

 それは、お友達の女の子だ。

「お、おはよう光莉ちゃんっ!」

「うんうんおはよーっ! 相も変わらず桃香ちゃんは麗しいね~! ぜひとも、今度また私のデザインした服試着しに来てよ! この前桃香ちゃんイメージの服作ったんだ~っ!」

「そ、そうなの?」

「そりゃーね! 桃香ちゃんの可憐で可愛くて、儚い美しさを表現しようと頑張ったの! わたしの力作だよっ。」