黒峰くん、独占禁止。

 それはまるで薬のようで、そうだと納得せざるを得なかった。

 嶺緒君からしたら、私がどんな行動をとったとしてもどうにでもなるんだよね。

 反抗しても、逃げ出しても、他の誰かを好きになったとしても。

 私と嶺緒君の間には契約があるから、いくらでも私を好きにできる……って事なんだよね。

 改めて分からされた気になって、固まって動けなくなる。

「ももちゃん、固まっちゃってかわいー。」

 私を見下ろした嶺緒君はクスクス面白そうに笑うと、再び横になって抱きしめてきた。

「可愛い可愛い、俺の桃香。好きだよ。」

「……うん。」

「桃香は、俺を好きでいてくれてる?」

「……、好き、だよ。」

 本当は、ちょっと怖いって思っちゃってる。

 私が勝手な行動をすれば契約を振りかざしてくるし、束縛も強くなっている。

 そう分かっていながらも……黒峰君のことを忘れる手段は、これしか思いつかなくて。

 頑張って振り絞った愛の言葉は、酷く残酷に聞こえた。



 結局のところ、私はいろんな人と仲違いをしたままだった。