黒峰くん、独占禁止。

 嶺緒君は私を好きでいてくれている。私も、嶺緒君を好きでいようと努力している。

 だからここは、喜ぶべきところ。

「……時間が、欲しい。」

 なのに、私は首を左右に振った。

 逃げを取ってしまった、せっかく黒峰君を忘れられるチャンスだったはずなのに。

 この恋心を忘れる、よりも……嶺緒君にそーゆー事をされちゃうって可能性のほうが、よっぽど嫌だった。

 さっきよりも強い力で拒否し、視線を合わせないようにする。

 反抗をしてしまったからてっきり怒られると思い、目が開けられない。

「分かった。確かにこーゆーのって勢いじゃないもんね。ももちゃんのペースに合わせるよ。」

「……え、ほんと?」

「なーに? 何で驚いてるの?」

 けれどもまさかの優しい言葉が返ってきて、開いた口が塞がらなくなる。

 そんな私の唇の端っこにキスを落とすと、嶺緒君は耳元で囁いた。

「ま、そもそもももちゃんは俺の傍から離れられないもんね。焦る必要もないって事だよね。」

 耳の奥底に、ジーンと響くアルトの声。