黒峰くん、独占禁止。

　簡素なものだけど、黒峰君が送ってきたと思うと柔らかい言葉なんだろうなと最近察してきてしまう。

　どう考えてもそんなわけないのに。

　きっと他の子にも同じように送ってるんだ、うん。

　強制的に自分を納得させ、既読を付けてしまったからスタンプで返す。

　がんばロバのスタンプ……結構愛用しているもの。

　それをポンっと送り、すぐにスマホの電源を落とす。

　ふぅ……疲れた。

　ため息を吐きながら、自分の教室へと入る。

　その瞬間、ピシッとその場の空気が凍った。

　……やっぱり、いつまで経っても変わらないものなんだなぁ。

　向けられる冷たい視線、怯えたような視線、面倒そうな視線に耐えながら自分の席に着く。

　これが、私の日常。

　ほとんどの生徒は私を良く思っていなくて、こんな視線を浴びるのにはもう慣れた。

　話しかけてこようとしてくれる人もいないし、特別親しい人だって……数えられるくらい。

　理由なんて、分かり切っている。

「春宮さん、今日も黒峰君と一緒にいたみたい。圓光寺君とも仲いいのに、大人しそうな顔してほんと男好きだよね～。」