黒峰くん、独占禁止。

 先生は何も聞かないでくれたから良かった……。聞かれた場合、何て答えればいいかが分からなかったから。

 ほっと安堵しながら、まだ日が昇っている家路につく。

 この時間に帰る事は今までになかったから、新鮮そのものでついきょろきょろしてしまう。

 けれどこれといって変わった事はなく、大人しくマンションの自分の部屋へと倒れ込んだ。

 どうしよう……勢いでここまで帰ってきたのはいいけど、光莉ちゃんに心配かけちゃうよね……。

 光莉ちゃんとのトークルームを開き、途中まで文字を打つ。

 でも送るのは気が引けて、やっぱりやめにした。

 ……光莉ちゃんに当たるのはお門違いにも程がある。光莉ちゃんは何にも悪くないのに。

 むしろ私のことを考えてくれて優しくしてくれて、誰よりも良い子なのに。

 私はなんて酷い事をしてしまったんだろう、と今になって後悔が募る。

 だからもう一度、ちゃんと謝ろうとスマホのロックを解除した。

「……嶺緒、くん?」

 その時メッセージの通知として映し出されたのは、嶺緒君の名前。