黒峰くん、独占禁止。

 そして……黒峰君がいるかもしれない。

 どこか淡い希望を抱き、私は授業そっちのけで歩を進めた。



 少し錆び始めているのか、キィ……と鈍い音が鳴った扉。

 目の前にはフェンスがあり、その上には綺麗な青空が一面に広がっていた。

 雲もそんなになさそうで、晴れやかな天気がどこまでも続いている。

 私の心の仲と相反している景色に、何故だか癒されつつあった。

 屋上、ここが一番だ。

 ……黒峰君はいないみたいだけど、今会ったら惨めな顔をしちゃうと思う。

 結果的に会わないほうがいいと思って、ベンチに腰を降ろした。

 黒峰君はよく、ここで私を抱きしめていた。

 強い力で、離さないと言わんばかりに強くて、それでいて優しくて。

 結構強引な言葉の数々を言われてきたけど、強要するようなものはなくって。

 私が何を言っても、薄く笑って肯定してくれて。

 絶対に否定しなくて、私を丸ごと包んでくれそうな安心感があって。

 私を好きでいてくれている……なんて慢心を覚えさせるほど、黒峰君は甘かった。