黒峰くん、独占禁止。

 どうして受け入れるの? どうして拒否しないの?

 ……何で、なんで。

 答えが出ない疑問が蔓延り、行き過ぎて気分が悪くなる。

「私じゃ、ダメ……?」

 意図せずそんな泣き言が洩れた。

 分かっていたはずでしょ、黒峰君は遊んでるだけだって。

 本当はあんなに可愛い人といて、それでいて好きって言われて、拒否もしてなくて。

 全部ぜんぶ、分かってるつもりだったのに。

「……酷いよ。」

 静かに立ち上がってその場から急いで離れる。

 マンションめがけて一直線に走り、息が乱れ始めた瞬間。

「うぅ……っ、わたしじゃ、だめ、だったの……っ。」

 酷いのは私だ。私のはずなんだ。

 今まで散々黒峰君に迷惑かけて、曖昧な態度を取っていたから罰が当たったんだ。

 心臓が痛い。鼓動が早い。

 それが嫌な音にしか聞こえなくて、耳を塞いでしまう。

 ありがたい事に今の時間は人気がなく、気にせずに泣きはらす事ができる。

 ……だからかな、古夜君が口ごもってたのは。

 古夜君は多分、見返りがなきゃ動かなそうな人。自分に得がなきゃ、声を上げない人だと思っている。