黒峰くん、独占禁止。

 やだ、やめて。黒峰君にそんなの、しないで。

 頬でも嫌だ。キスなんてしないで、許さないで。

 黒峰君に向けても、あのモデルさんに向けても、酷く醜い嫉妬の矛先が向かう。

 その瞬間にやっと、モデルさんの素性が分かった。

「いい加減にしろ、マフユ。」

 マフユ……って、この前黒峰君が寝言で言ってた、人のこと?

 ……いいや、それよりも。

 やっと思い出した。名前だけが思い出せなかったから、印象に残るモデルさんじゃなかったのかもしれないと思い始めていたけど。

 小町真冬(こまちまふゆ)さん、超人気な読モだ。

 いろんな雑誌に引っ張りだこで、ひっきりなしに仕事があるモデル。

 人柄が良いと言われているから人脈も広く、誰とでも仲が良いらしい。

 そんな人が、黒峰君といるなんて。

 どうしても嫉妬が抑えられなくて、物陰に腰を降ろしたまま拳を握る。手はぶるぶると、情けなく震えていた。

 ……黒峰君、何ではっきり否定しなかったの?

 真冬さんに「大好き」って言われたのに、どうして何も言わないの?