黒峰くん、独占禁止。

「何で? 俺たち小学生からの仲じゃん。」

「で、でもっ……まだ、慣れなさそう、だから。」

「そ。まぁ、ももちゃんが嫌なら無理には言わないよーにしよ。」

「あ、ありがとうっ……。」

 誰も来ないような、静かな空き教室。

 その中で私は、いつものようにびくびく怯えながら答える。

 “ももちゃん”と呼ぶ声は、優しくてどこか甘くて。

 ……一見すると分からないような、深くて暗い闇がある。

「相変わらず、黒峰に好き好き言われてたの?」

「そう、だよ。」

「困っちゃうよね、ももちゃん嫌がってるのに。黒峰ってほーんと、見た目だけしかない奴。」

 そう言いながら近付いてくる彼に対し、私は一歩後ずさる。

 彼の眉が、ぴくりと動いたのが見えた。

 これは……やばい、かもしれない。

 カシャンと扉の音が聞こえて、背中に冷たい感触が這う。

「そろそろ、あいつやっちゃってもいい?」

「だ、ダメだよそれは……!」

「ふーん、あいつのこと庇うんだ。」

「っ、そういうわけじゃっ……。」