せっかく、黒峰君にプレゼントしようって考えていたのに。

 雑貨を見ている時も、光莉ちゃんや古夜君と話している時も、脳裏にあの二人がちらつく。

「桃香ちゃん、何も買わなくてよかったの?」

「うん。……まぁいいやって思って。」

 そして結局、やめる事にした。

 今はちょっと、何も考えられない気がする。

 あの二人のことが気になりすぎて、意識がどこかに飛んで行ってしまいそうだった。

「二人はそろそろ帰る感じ?」

「そうだね。暗くなってきちゃったらダメだし、今日は解散にしよっか。」

 光莉ちゃんに了承を貰い、途中まで一緒に帰る。

 だけどもどっちにしろ帰路が違うから、私は古夜君にこう言ってやった。

「光莉ちゃんのこと、安全に送っていってあげなよ。任せたからね!」

「……それは分かってるけど、とーかちゃんはどうすんの?」

「? 帰るけど。」

「いや、そーじゃなくて。」

 何を心配しているんだろうか、古夜君が不自然に口ごもる。

 さらっと言葉を発する古夜君しか見た事がなかったから、ちょっとだけ怪しんでしまう。