黒峰くん、独占禁止。

 ……そろそろ戻らなきゃな。

 結構な時間経ってると思うし、光莉ちゃんも心配してるだろう。

「あっちの小物屋さんにも行ってみようよっ! ね、いいでしょう?」

「……引っ張んな。」

「だって早く行かなきゃ、面白いものがなくなっちゃうでしょう!?」

「……あっそ。」

 ん……?

 ベンチから立ち上がろうとしたその時、少し遠くに揺れる長い黒髪を見つけた。

 艶があって綺麗で、繊細な黒髪。

「…………あれ? 黒峰、くん?」

 その横に佇んでいるのは、見間違えようもないほど表情筋が死んでそうな……黒峰君だった。

 よく見ると、長い綺麗な黒髪の持ち主は今朝ぶつかったモデルさんだ。

 あの二人って、どんな関係……?

 驚きよりも、疑問が先に走っていく。

「とーうーかーちゃーんっっ!!」

「……っ、うわぁっ!?」

「もうっ、電話終わっちゃってるなら一緒に雑貨見ようよ! ねっ?」

 ぐいぐいと強引な光莉ちゃんに服の袖を引っ張られ、あの二人を見失ってしまう。

 ……何でだろ、今すっごく心臓痛い。