黒峰くん、独占禁止。

 そうなれば、私が嶺緒君の元に行った意味がない。

 契約解除されれば、家族を守れなくなるんだから――……。

「……杏珠、心配かけちゃってるね。ごめんね。でも本当に大丈夫だから、嶺緒君良い人だし。」

《ほんと?》

「うん、ほんと。」

《ほんとにほんと?》

「疑り深いなぁ……。平気だよ、私。結構楽しく過ごしてるし、そんな心配しなくても良いよ。杏珠はちゃんと、人のことばっかりじゃなくて自分のこと考えなよ。」

 心配性の杏珠には、これくらい強く言っておいたほうがいい。

 するとようやく分かってくれたのか、スマホ越しに小さな返事が聞こえた。

《……うん、分かった。お姉ちゃん、無理はしないでよね。》

「分かってるって! 杏珠も、お父さんもお母さんも無理しちゃダメだよ?」

《ふふっ、うん! ……あ、ごめんお姉ちゃん、そろそろ切らなきゃ。》

 用事があるらしく、口早にそう言った杏珠。

 私からしてもちょうどいい頃合いだったし、杏珠にもう一度お礼を伝えて電話を切った。

 スマホの画面が暗くなった事を確認し、ポケットにしまう。