黒峰くん、独占禁止。

 そうしたのが悪くて、次の瞬間には誰かにぶつかってしまっていた。

 パサリ、と目下に麦わら帽子が見える。

 まだ目がチカチカしているけど、人にぶつかってしまったという事実で私はすぐに麦わら帽子を拾い上げた。

「す、すみません! ちゃんと前見えてなくて……お怪我ありませんか!?」

「……いえ、こちらこそごめんなさい。よそ見をしていて……」

 私と同じように「怪我とかしてませんか?」と尋ね、ふっと顔が見える。

 ……っ、モデルさんみたい。

 息を呑んだ。目の前にいる女性の顔が、整いすぎているから。

 というか……モデルさん!?

 ぼーっとしすぎて思わず“みたい”なんて考えてしまったけど、この人本物のモデルさんだよね……!?

 確かいろんなファッション雑誌に載っていて、お仕事のオファーが多いらしくて……。

 そこまで覚えているのに、名前がなかなか出てきそうもないのが申し訳ない。

 ……本物のモデルさんに向かって、モデルさんみたいだなんて失礼極まりなかった。

 ごめんなさい……! そんなつもりじゃなかったんです……!