黒峰くん、独占禁止。

 完全には逆らえない……そんな、見えないナニカが。

《本当に、ダメ?》

「……断ったら、また脅すの?」

《え? やだなぁ、あれ脅しだと思ってたの?》

「私には、そうにしか聞こえない……から。」

《そっかぁ。別に、脅してるわけじゃないんだよ?》

 それが事実だよ――……?

 けろっと明るい声に戻った嶺緒君に、はっきり告げられる。

 やっぱりそうだよね。そうなんだよね……。

 私はやっぱり、完全には逆らえない。

 断ろうと思っても、圧に負けてしまって首を縦に振ってしまう。

「……分かった。行く、ね。」

 本当に、こんな曖昧な態度を取る自分が嫌いだ。

 ……って、やばい!

 もうそろそろ出なきゃ、ほんとに遅れる……!

 光莉ちゃんを絶対に待たせるわけにはいかず、鍵を閉めて急いでマンションを出る。

 外は少しだけ気温が高く、じめじめした暑さが蔓延っていた。

 スマホで度々時間を確認しつつ、そして足を速める。

 ……眩し。

 T字路を曲がったところでキラキラ輝く太陽の眩しさに、反射的に目を細める。