黒峰くん、独占禁止。

 そう分かっているのに、なぁ……。

『春宮、仕返ししていいか?』

 あの時の声が、眼差しが、触れ方が、全部好きで。

 黒峰君に塗り替えられてもらった唇は、愛おしく思えて。

 ……どうしようもないほど、黒峰君に溺れている。

 もうほんとに、自分でも抑えられないくらい……黒峰君のことを、想ってしまっている。

 ダメなのに、そんなわけにはいかないのに。

 私は、嶺緒君のものなのに……。

 どうしてこんなに、嶺緒君を拒否したいんだろう。

 ――プルルルッ、プルルルッ

「!? ……び、びっくりした。」

 不意に着信音が鳴ったと思ったら、バイブレーションしているスマホが目に入る。

 ぐーっと手を伸ばして相手を見てみると、どうやら光莉ちゃんのようですぐに応答ボタンを押した。

「もしもし。」

《あっ、良かった~桃香ちゃん! 出てくれないかと思っちゃった。》

「いやいや、そんな事しないよ。」

《ふふ、冗談だよ~。分かってるよ~。》

 むーっと頬を膨らませて返すと、光莉ちゃんはクスクス可愛らしく微笑んだ。