自分から求めるなんて……今考えたらなんて大胆な事をしてしまったんだろう。

 そんな女だったのかって幻滅されたかもしれない。最悪の場合、嫌われたかも……。

 悶々と、答えが一向に出なさそうな自問に向き合う。

 だけどその時、ピコンッと頭に一つの光が見えた。

 いや、幻滅したり嫌われたらキスなんてされないよね……?

 なら、まだ嫌われてない……かも。

 もっとって欲しがった時、黒峰君は笑ってキスしてくれた。

 もしかしたら、希望はあるのかもしれない。

「……いや、やめよう。こんなの。」

 希望は見えた。けど、こんなのはただの願望にしかならない。

 ただの私の憶測。こうなってほしいって、我儘で終わる可能性が非常に高い。

 それに、黒峰君がどう思ってくれたって、私は嶺緒君から離れられない。

 離れたら、見放されたら……。

 被害妄想ばかりが大きく膨らんでいって、震えたため息が吐き出された。

 もう、あんな思いはしたくない。させたくない。

 私は、嶺緒君に救われた身。だから何が何でも、彼の傍から離れちゃいけない。