きっと黒峰君が、塗り替えてくれる。

 昨日何度も嶺緒君に奪われた唇を、黒峰君でいっぱいにしてほしくて。

 ……自分は最低だな、と思いつつも身を任せる他なかった。

 都合の悪い事は隠して、自分だけ良い気分になりたいだけ。

 そんな最悪な考えが脳裏にちらついて、その度に黒峰君に止めてほしかった。

 黒峰君にキスされている時は、意識を保つのにいっぱいいっぱいで。

 でも黒峰君とのキスの感触を忘れたくなくて、頑張って自分の意識にしがみついていた。

 忘れたくない、塗り替えてほしい。もっと、もっと――……。

 唇が重ねられる度、強欲になって言ってしまう。

 こんなに強欲な人間だったっけ……?と思わずにはいられない。

 それくらい、黒峰君は私にとって影響がある人なんだ。

 ……それくらい、黒峰君は私にとって……かけがえがないんだ。



 そして家に帰ってから、大反省した。

 いや、ほんとにいつから私あんなはしたない女になったの……!?

 前にもした自問を、もう一度投げかける。