でももちろん十分に力は入らなくて、抵抗しているとは到底言えない。

 ……だけど、抵抗したいわけじゃなくって。

「くろ、みねく……ん。」

「どうした?」

「……っ、もっと、して、ほし……ぃ。」

 あぁ、自分が自分じゃないみたい。

 黒峰君の甘い熱にやられて、多分まともな思考回路が壊れているんだ。

 ぼんやりとどこかでそう分かっているけども、この言葉を撤回する気はない。

 だって、もっと触れてほしい。

 もっと、黒峰君の甘い熱に脅かされたい。

 そう願ったらキリがなくて、段々と意識が朦朧としてくる。

 ……でも、意識保たなきゃ。

「……さっきの言葉、なしにするなら今だぞ。」

「ううん、しない……っ。」

 確認するように、心配そうな眼差しが私に注がれる。

 これも黒峰君の優しさだ。普段強引なくせに、こういうところは慎重なんだ。

 ……こんな場面でも、強引で良いのに。

 そう思いながら、首を左右に振る。

 力強く、決して遊びじゃないと、本気だと伝える為に。