黒峰くん、独占禁止。

 どうやら腑に落ちたらしい黒峰君は、納得したような声を吐き出す。

 ……その声色的に、そろそろ解放してもらえると思った私はこっそり安堵の息を洩らした。

 ほっ……とりあえずこの状況をどうにかしたかったから、解放してもらえるのはありがたい。

「……あのー、黒峰君?」

 心の底でしみじみするが、私の予想とは裏腹に一向に解放してもらえない。

 それに耐えきれず名前を呼ぶと、何故か優しく無言で腕を引っ張られて。

「春宮、仕返ししていいか?」

「へ……?」

 ぽふんっ――、なんてメルヘンな音が聞こえてきそうなほど、優しく押し倒されてしまった。

 …………はい!?

 自分の状況に理解が追い付かず、頭の中ではてなが増殖する。

 どうしてここにあるのか分からない体育館のマットのおかげで痛くはなかったけど、やっぱり疑問が浮かび上がる。

 何で私は、黒峰君に押し倒されてるの……?

 黒峰君の行動理念が分からず、口をパクパクさせてしまう。

 言いたい事はたくさんあるのに、何から言っていいのか分からなくて声が出ない。