黒峰くん、独占禁止。

 先程重ねられた左手は、ぎゅっと握られている。

 突然の近距離に少々困惑している私に、黒峰君は目を細めた。

「俺のこと、襲いに来たのか?」

「い、いやっ、そういうわけじゃないけどっ……!」

「“けど”?」

 ……しまった、墓穴掘った。

 はっと気付いてからでは遅く、吐息がかかるほど近くに黒峰君の顔があった。

「何しに来たんだ? この時間、もう帰ってるはずだろ?」

「っ……く、黒峰君が見えたから来ただけ! さっきのは完全に遊んでました!」

 もう開き直ったほうが早い。そう悟った私は、吹っ切れて白状する事にした。

 顔のむにむには途中から楽しくなっちゃってて、ずーっとしてしまったけど……まさか起きてただなんて。

 起きてないだろうと高を括っていたのに、恥ずかしさが今更襲ってくる。

 黒峰君と目を合わせるのは精神的には無理な為、ふいーっと視線を逸らした。

 ドキドキ、バクバク。

 心臓が今までにない以上に暴れ狂ってるのを感じて、必死に平常心を保とうと努力する。

「ふーん、やっぱ遊ばれてたのか俺。」