黒峰くん、独占禁止。

 けれど私は返却する時、必ずと言っていいほどこの返却ボックスに入れて返していた。

 もちろんカウンターにいる図書委員さんに声をかけても返却は済むんだけど、できれば中には入りたくない。

 借りる時は仕方ないとしても、図書委員さんとは顔を合わせたくないというのが本音だった。

 私が行くと、あからさまに嫌な顔を向けられるもん。

 理由が分かり切っているから尚更辛く、きゅっと心臓の辺りが締め付けられた。

 ……嶺緒君は、私が嫌われている事を知らない。

 私もわざわざ言っていないし、嶺緒君にそんな聞き心地の良くない話は入らないから。

 これだけいろんな生徒に嫌われていたら流石の嶺緒君も分かってはいるだろうけど、その事について聞かれた事はないからきっと分かっていない。

 もしも、嶺緒君が何かしら対処してくれたら……なんて。

 そんな人任せな事を考えるのはやめよう。自分にできない事くぉ他人に押し付けちゃダメだ。

 ふるふると控えめに首を左右に振って、頭の中にある邪念を分散させる。

 そうしてから私は、スクールバッグを持ち直して昇降口に向かう為に階段を降りた。