黒峰くん、独占禁止。

「嶺緒のことは好きにならないほうがいい。……嶺緒を受け入れてしまえば、きっとお前は永遠に縛られる。」

 似たような忠告をして、古夜君はよっこらせと立ち上がった。

 私もつられて立ち上がって、ぎゅっと拳を握り締める。

「……ありがとう、忠告してくれて。」

 昨日の嶺緒君を見て、やっと古夜君の言葉の意味が分かった気がする。

 やっぱり、嶺緒君の……私への気持ちは、純粋なものじゃない。

 歪んだ、形容しがたい複雑な気持ちなんだと身に染みて感じた。

 嶺緒君の性格を分かっているから、そして私たちの関係を知っているから、きっと心配してくれたんだ。

 素直に感謝の気持ちを伝えると、古夜君は片手を上げてさっさと去って行ってしまった。

 ……気を付けなきゃ、嶺緒君には。

 古夜君がくれたありがたい言葉を心の中で反芻しながら、私は下唇を噛み締めた。



「……よし、これでいいかな。」

 その日の放課後、私は図書室前で返却ボックスに本を返していた。

 私の通う学校の本の返却期限は2週間と少し長く、帰し忘れる事は滅多にない。