ある春の日。

 ぽかぽか陽気に包まれ、どこからか雀のさえずりが聞こえてくる。

 いつもなら寝てしまいそうな空気だけど、今日はそうはいかない。

「……ちょっとだけ暑いよ、黒峰君。」

 この言葉を、もう何回言っただろうか。

 かれこれもう5回くらい言ってるよね。全く同じ言葉を。

 それなのに何故、聞いてくれないんだろうか。

「黒峰君。」

「どーした?」

「……何で、くっつくの。」

 春だからとはいえ、暑いよ――……。

 私ははっきり、後ろに抱き着く彼に伝える。

 すると何故だろう、余計にくっついてきた。

 ……どうしてだ。

「そりゃ、くっつきたいから。」

 答えになってないよ、黒峰君。

 それじゃただのオウム返しになっちゃう。

「……普通、恋人同士でもない男女がくっつくのは……いかがなものだろうか。黒峰君。」

 だから今度は、言葉を変えて再度問いかける。

 これでどうだ。オウム返しはできないだろう、黒峰君。

 そう思っていたら。

「んなの、春宮が好きだからだけど?」

 ……爆弾、落とされた。それも、超巨大の。