『ただいま~』


 『あっ、椿ちゃんお帰り~ 幼稚園楽しかった? チョコ食べな』


 『おばちゃんが焼いたアップルパイもあるよ』



 みんなが笑顔でオヤツを差し出してくれて



 『うわぁ~ おいしい~』


 『つばきちゃんがおいしそうに食べてくれると、こっちまで幸せな気分になるよ。おばちゃん仕事がんばれちゃう。さぁもっともっと食べて』


 『うん』



 私がリスみたいに頬ばれば頬ばるほど、会社の人たちが大喜びしてくれたんだ。



 笑顔の引き出し方を学習した、5歳児の私。

 遠慮しないで食べてばかり。

 当たり前だけど、体は縦じゃなく横に成長していって。

 ある時から、幼稚園の女子3人にひどい言葉をぶつけられるようになった。



 『デブが来た。廊下ふさいでる』


 『ブタじゃん。マジでジャマ』


 『ママとパパと動物園に住んでるんじゃないの?  キャハハ~』