「今のお前は、ただでさえひどい目に合っているのに、自分自身に罪悪感を植え付けて、余計に苦しくなっているんだよ。もう、やめよう。こんなことは」

「…………」

「今までたくさん一人で戦ってきて、大変だったな」


氷高くんの言葉が一滴の雫となって、私の心にしみ込んでいく。


誰かにこんな労いの言葉を言われたのは、生まれてはじめてかもしれない。


「ずっと、苦しかった……」

気付けば、私の口からぽろっと心の声があふれ出ていた。


「班に入れてもらったから、しょうがないから。だから、私は我慢すればいいって思ってた。心はとっくにボロボロなのに、ずっとずっと苦しかった……」


本音を吐き出したら、目頭が熱くなる。いつの間にか、私は泣いていた。


「表では何でもないように振る舞ってたけど……本当は、もう限界。これ以上は私がもたないよ……」

「及川、もう大丈夫だ。お前はもう一人じゃない。俺がいる」


氷高くんの、私の手を握る両手に力が入る。


「一緒に戦おう」


彼の芯の通った力強い言葉に、私は目のふちに溜まった涙をぬぐってうなずいた。