私は時計を見た。ちょうど18時になる。まもなく、息子が3ヶ月の長期出張から帰ってくるだろう。

 高校時代は髪を染めてヤンキーもどきをしていた息子も、専門学校を卒業後、何とか就職することもでき、最近は少しばかり落ち着いてきた。


――言えない。

 先日、マリちゃんが、婚約者を連れて我が家に挨拶に来た。そのことを息子に伝えねばと思ってはいたが、いざ息子が帰ってくるとなると、うまい伝え方が思い浮かばない。


 息子は、マリちゃんに親しい男性がいるなど、想像すらしていないはずである。
 しかも、マリちゃんが連れてきた相手は、普通ではない。何というか、好意的に、かなり控えめに言ったとしても――突き抜けていた。