僕が愛したエリナは、何もかもが幻だったのか。

それとも、都会が彼女を変えてしまったのか。

しかし、優しく、聡明で、可愛らしい…とても素敵な彼女の幻を、まだ当分は引きずることになるのだろう。

不思議だ…こんなに冷たく振られたにも関わらず、彼女から貰った手袋とマフラーだけは暖かい。

残酷な彼女の、最後の優しさだったのだろうか?

最寄り駅に辿り着くと、苗場のパウダースノーとは違う、ぼたん雪が降っていた。

まるで、泣くに泣けない僕の代わりに、空が泣いているかのようだ…。


The End