とはいえ、辞退するためには、それらしい言い訳がいる。
 今まで辞退者はほとんどいなかったと聞くから、三名もの辞退ということになれば、少し難色を示されるかもしれない。

 私は部活動に打ち込んでいるわけでもなく、家に弟妹がいるわけでもない。 
 習い事や趣味程度ならばあるけれど、それは他のメンバーだって皆同じだろう。


 考えた末、私は無難に、「図書委員の仕事に打ち込みたいので」と答えた。
 私は本が好きだし、楽そうなので、これまで常に図書委員をつとめているのだ。


 全員が納得したかどうかは分からないけれど。

 図書委員長はいたく感激した様子で、「黒瀬さん!来年の図書委員長はあなたを推薦しますね。一緒に図書の改良をはかりましょう!」と喜んでいたため、良しとしよう。


 その後、私に少し遅れて、三杉も辞退の希望を出したらしいけれど、正当な理由がないということで却下されていた。

 実際のところは。被推薦者七名のうちから四名以上の辞退者が出ると、翌年の役職付き(会長、副会長、会計、書記)の最低人数に足りなくなってしまうので、これ以上の辞退は絶対ダメ、ということだったらしい。


――哀れ、三杉。私の分も頑張ってくれたまえ。


 私は心の中で合掌した。