「――どうやら。彼女の人望と人柄を、見誤っていたようですね。」
今まで発言しなかった、理事長は。グラウンドで大声をあげる柳瀬さん達と、はるか向こうまで続く行列を見下ろしながら、呟いた。
「これだけの人が、必死に、彼女の無実を訴える。それは、これまでの、彼女の生き様を現しているのでしょう。」
理事長は、校長と、白鴎さんを見た。
「客観的な証拠がない中での、相反する証言の信用性の判断。
彼女を信じるこれだけの人を前に。彼女の言い分について信用性がないと、簡単に排斥することはできませんね。」
「……っ。」
校長と高野先生は、呆然と、グラウンドを見下ろし。白鴎さんは、悔しそうに唇を噛んだけど。
それ以上、誰も。理事長に言い返すことはしなかった。