「まず、現在までの検討状況について、お伝えしましょう。
 当校としては、情報提供のありました各問題行為のうち、月乃愛花さんに対する虐め行為を、懲戒処分の対象として検討しています。

 その他の品位を害する行為についても問題がないとは言えませんが、直ちに懲戒事由になるとは考えておりません。あくまで背景的な要素として捉えています。」

 校長は、淡々と話した。


 ヒロイン・愛花ちゃんに対する虐め――。これによって悪役令嬢の私が裁かれるというのは、私自身、小さな頃から警戒し続けてきた流れである。

 この流れを回避するために、できる限りのことをして、良好な関係性を築いてきたはずだった。

 それにもかかわらず、こうして最後には断罪ルートに入ってしまうというのは、悪役令嬢である私の宿命なのだろうか。


「まず、月乃さんが虐められていたという事実自体は、争いのないところですね。
 これについて、『自分は一切関与していない』『目撃証言がある件についても、偶然居合わせただけ』というのが、あなたの主張です。

 あなたの主張を裏付ける客観的証拠、証言等はありません。あなたを擁護する意見も聞いておりますが、いずれも具体的な根拠を欠くものでした。」

 校長は、水を一口飲んで、話を続けた。