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 青石兄を見送った後のポーチには、小さな雪が舞い込んでいる。

 雪を降らす先を追うように、目線を上げると、暗くなり始めた空には、下弦の月も見えた。


――空は、繋がっているけれど。


 学校の皆――、杵築に羽村。三杉、佐々木くん、瞳ちゃん達に、愛花ちゃんは。今、この雪を見ているだろうか。今、何をしているのだろうか。


 私は、そっと手を伸ばし、舞い降りてきた雪を受け止めた。手のひらの雪は、一瞬のうちに、肌に溶けていく。
 それは、私から逃げていった、幸せみたいにも思えるけれど。


――まだ。終わってはいない。

 いよいよ、来週が、最後の審問。皆と卒業できるチャンスは、まだ残っている。


 家に入ろうとして、ふと振り返ると。
 門戸には薄く、雪が積もり始めていた。