自宅待機を指示された、その日、両親は激しく怒り狂った。――私に対してではなく、学校に対してだ。

 ゲームでは、断罪された百佳をさらに責め立てていたはずの両親は、無条件に私を信じてくれた。
 むしろ、感情的になった両親が学校に怒鳴り込もうとするのを止める方が大変だった。


「家の力で揉み消したみたいに言われるのは、嫌なの。
 きちんと調査をしてもらった上で、疑いを晴らしたい。――だって、ホントに無実なんだから。」

 根拠もなく、「うちの娘に限って」と怒鳴り込めば、モンスターペアレント扱いをさるのは目に見えているし、印象が悪くなる分、損でしかない。
 仮にそれで復学できたとしても、疑いが晴れないままでは意味がない。


 春名さんは、以前、自分の親が漏らした情報が使われたかもと、気に病んでいるけれど。
 春名さんの両親が提供できる情報なんて、ほとんど限られている。

 それよりも、言われてみて初めて、以前、私の情報を集めている輩がいたという話を思い出した。――あれは、韓国総領事のホームパーティの後くらいの時期だ。

 白鴎さんは、既にあの頃から、私の情報を集めていたのか。

 あれだけの内容の書面にするには、学内にもきっと、複数の情報提供者がいるに違いない。
 ひとりひとりは、軽い噂話のつもりだったのかも、しれないけれど……。

 私は、自分が思っていた以上に、皆に嫌われていたのかもしれない。
 そう思うと、何だかとても、悲しい気分になった。