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 1月中旬。

 杵築の家主催の、パーティが開かれた。
 新年の挨拶と、新ブランドの発表などがあるということで、いつもの生徒会メンバー全員が招待されている。


「今日のドレス、よく似合っていますね。」
 羽村がやってきた。

 今日の私は、濃い赤を貴重としたドレスを着て、髪を結い上げている。
 ちなみに、愛花ちゃんは可愛らしいピンクのドレス、遠目に見える紗和子さんは清楚な白いドレスだ。


 杵築父の挨拶により、定刻にパーティが始まり、冒頭には、新ブランドの発表があった。
 なお、新ブランドのイメージカラーは、私のドレスと同じ深紅である。「知ってたの?」と佐々木くんが聞いてきたけれど、全くの偶然だ。


 歓談タイムに入ると、私たちは、お皿に料理を取って、端の方のテーブルに集まった。
 杵築の家主催のパーティーは、いつもお料理が美味しくて、テンションが上がる。 


 けれど、肝心の杵築には、まだ挨拶できておらず、私は会場をキョロキョロと見回した。

「私もまだ、挨拶できていないんですよ。」
「俺も、まだ。」

 早くから来ている羽村と、三杉も会えていないのなら、杵築はまだ、このホールに来ていないのかもしれない。
 そういえば、先ほどまでホールにいたはずの杵築のご両親も、姿が見えなくなっている。