――イケメンが女装すると、目の保養だなあ。

 佐々木くんは、この姿を杵築にも見てもらいたいに違いない。


「お仕事、がんばって下さいね? お姉さま。」

 自分の担当時間が終わって、浮かれていた私は。佐々木くんを見上げながら、いつもなら言わない冗談を口にした。

 その瞬間、佐々木くんは、私をギュッとして「新しい境地……。」と呟いていたけれど。


 どうやら、キャーキャー言って写真を撮っていた他のクラスメートに対しての、ファンサービスのようだ。


※※※※

 
 今年は、例年にない、後夜祭のフォークダンスの試みがあった。

 キャンプファイヤーを囲んで、男女別々の列になり、順々にペアを変えながら踊っていくのだ。


 私も女子の列に並び、クラスの男子と、順々に踊っていった。柔らかい雰囲気のメイドメイクがまだ少し残っていたためか、今日は、男子にビクつかれることもないみたい。

 けれど――、フォークダンスというものは、普段親しくない男子の方が、気楽に踊れるようだ。

 杵築たち生徒会メンバーらと踊るときは、何だかやけに気恥ずかしくて――、まともに視線を合わせられなかった。