「ちょっと、そんなに恥ずかしそうに言われると、逆にこっちが恥ずかしくなるから。どうせやるなら、もっと堂々と言いなよ。」

「だって恥ずかしいんですもん。そんなに言うなら、自分でやってみて下さいよ。」

「やらないし。……ていうか、あっちからガン見されてるんだけど。あの目立つ三人組、何?」

「あー、あれは。同じクラスの、生徒会メンバーです。気にしないで下さい。」

 私が説明しているうちに、羽村が立ち上がってやってきた。


「黒瀬さん、こちらは?」

「あー、知り合いです。」
「保護者みたいな者です。百佳、彼は?」

「あー、羽村くんと言って。」
「ああ! あのマンションの、彼。」


 青石兄は、羽村に笑顔を向けた。

「この子が世話になってるようだけど、大分、世間知らずだから。もう君のマンションには誘わないでやってくれる?」


 羽村も、青石兄に笑いかけた。

「黒瀬さんには、兄も従兄もいないはずですし、本人がただの『知り合い』だと言っていますから?
 自称・保護者の方のお願いは、あくまで『お願い』として聞いておきますね。」

 二人とも初対面のはずなのに、何故か妙にギスギスしている。同類同士、互いの性格の悪さを感じ取るのだろうか。