クラスの子たちが張り切って支度をしてくれた今日の私からは、いつものキツい雰囲気が一掃されている。住田さんが設定したテーマは『ロリ系メイドさん』らしい。

 この幼げなメイクとウィッグに、大人っぽいミニスカメイド服と網タイツは合わないように思うのだけど。
 住田さんが『むしろ、そのアンバランスさが良いんです!』と力説するので、言われたとおりにした。

 渡された網タイツを履くとなんだかムチっとして見える気がするので、もう少しダイエットを頑張るべきだったと悔やまれる。


「ご注文はお決まりですか?」
「コーヒーで。」

「お砂糖、ミルクは入れますか?」 
「ミルクだけお願い。」

 私は、青石兄の注文どおりにコーヒーを運んできて、目の前でミルクを入れた。


「魔法をかけますね。お、美味しくな〜れ。萌え萌え、キュン……。」

 言いながらめちゃめちゃ恥ずかしくなって、半分俯くと、気のせいか青石兄も顔が赤いような。