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　文化祭準備の、試着の日。

　男子のメイド服は、衣装係が手作りしたものが用意されているが、女子のメイド服は、各自が用意したものを持参している。
　私は、ネットで注文したメイド服を持参して、試着してみた。


――ダメだこれ。恥ずかしすぎ……。

　スカートがミニ過ぎたのだろうか。見るからに『黒瀬百佳がメイド服着てます！』という感じで、我ながら痛すぎる。
　

　とりあえず、私はメイク係の子にメイクをしてもらうことになった。メイク係は、今まであまり話したことのないグループの子ばかりである。

「黒瀬さん、肌キレイですね。どんな感じにしたいですか？」

　私を担当してくれる女子――、住田さんが、少し緊張した感じで聞いてきた。同級生なのに、丁寧語という、この距離感。


「怖く見える顔が悩みなんで、できるだけ柔らかくなるように、お願いできればと……。」

　意外な回答だったのか、住田さんは「え？」と声をあげた。

　近くにいた他のメイク係の子たちや、メイクをしてもらっている最中の女子も、こちらを振り返った。